追悼 上坂冬子さん

2009.04.21 Tuesday 00:05
くっくり


 《引用者注:タイトルの「無知にして頑迷固陋な国」とは中国を指している。この当時、中国の李肇星外相がヒトラーを引き合いにして日本のいわゆるA級戦犯を批判していた。上坂さんはこの号で李外相を「この程度の認識で靖国参拝に反対しているなら、日本としては歯牙にもかけず聞き流すしかない。今度という今度こそ私も呆れ果てた」と激しく批判した》

 そういえば、東条(英機)は悪人だという思い込みもかなり行き渡っている。

 勝ち目のない戦争をはじめた無謀な首相、白旗をかかげるタイミングを外して日本をとことんまで窮地に追い込んだ強引なリーダー、などと位置づけられている。

 しかし半世紀前、東京裁判が始まったころに「東条見直し論」が、ひそかに蔓延していた。朝日新聞の「天声人語」でさえ、
 「電車の中などで『東条は人気をとりもどしたね』などと言うのを耳にすることがある。本社への投書などにも東条礼賛のものを時に見受ける」(昭和二十三年一月八日)
 と書いている。

 おそらく東京裁判法廷で天皇をかばいぬいた東条の証言に人々は好感を持ったのであろう。もっとも朝日新聞のことだから、締めくくりは東条の陳述に共鳴してはならないとしているが。

 二十年ほど前、A級戦犯を裁いた「東京裁判」のドキュメンタリー映画が、戦後はじめて日本で上映されたが、このころにも東条見直し論がかなり取り沙汰された。

 四時間半におよぶこの映画は、昭和天皇がいかに心ならずも開戦の決断を下したかを東条が証言した様子を浮かび上がらせているし、敗戦国のトップとしてプライドに満ちた態度で証言した様子もつぶさに写し出されている。人々は、ここでそれまでの思い込みをたださずにいられなかったのであろう。

 毎日グラフの柏木辰興記者によれば、
 「A級戦犯として絞首刑になった東条英機を見直す気運が強まっている。戦史専門家の間でも、東条英機は首相になって対米戦回避に尽力しており生硬な主戦論者ではないとか、当時は天皇、統帥部の強い権限があり、独裁者ではあり得なかったなどというものだ」(昭和五十八年八月二十一日)
 とあるから、世論はドキュメンタリー映画にかなり刺激されたものと思われる。さらに、この後がいい。柏木記者の見解として、
 「東条内閣の成立を伝えた当時の新聞は『一億国民の総司令官、東条さんしっかり頼みます』『実行家のカミソリ宰相に期待』などの見出しが躍っていた。田中角栄を『今太閤』『学歴なしの庶民宰相』と持ち上げた比ではない。どこぞの政党は別としてマスコミ、文化人、財界をはじめ国民こぞってが東条に期待、戦意高揚を助けた」

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