桜と日本人の感性

2009.03.21 Saturday 01:03
くっくり



 フォーチュンは万延元年(1860年)の秋から年末まで1回目の来日を果たし、翌年4月、再来日しました。
 春に日本に来た時は見事な八重桜などを目にし、「どこの国でも春は美しいが、日本の春は格別だ」と書き記しています。

 「貧しい階層ですら芸術や自然を愛している」「花を愛する国民性」——、もちろんそれは現代の日本人にも当てはまります。

 そして日本人は数ある花の中でも、とりわけ桜が好きですよね。私は生まれてこの方、桜が嫌いだという人にお目に掛かったことがありません。

 日本人の桜好きは、日本人特有の感受性と大きく関係しているような気がします。
 ぱっと咲いて、さっと散って行く。そこに「もののあわれ」を感じるというか。

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 「もののあわれ」と言えば、藤原正彦さんが『国家の品格』の中でこのような話を披露しています。

 ——日本人は「もののあわれ」、すなわち人間のはかなさや、悠久の自然の中で移ろいゆくものに美を発見しますが、日本文学者のドナルド・キーン氏によると、これは日本人独特の感性なのだそうです。

 たとえば、日本人は秋の虫の声を聞くと秋の憂愁に心を静ませます。虫の音を音楽として聴き、そこに「もののあわれ」さえ見出します。ごく普通の庶民ですらそうです。

 が、欧米人にとっては、稀に見る詩人を除けば、虫の声は「ノイズ」でしかなかったりするのだと。
 虫の音を楽しむというのは、欧米にはもちろん中国や韓国にもないことだそうです。

 数年前、藤原さんの家に、日本の中世文学を専攻するイギリス人が遊びに来たそうです。
 その時、藤原さんが「日本の中世文学を勉強するうえで何が難しいですか」と尋ねたところ、彼はただちに「もののあわれだ」と答えたのだそうです。

 イギリスにもそういう感性は勿論あるけれども、日本人ほど鋭くないそうで、「もののあわれ」に対応する英語も、それに近い英語も存在しないそうです。

 この日本人の感性の鋭さの一例が、桜の花に対するものだと、藤原さんは言います。

 桜は本当に綺麗に咲くのはたったの3、4日で、あっという間に散ってしまう。そのたったの3、4日に命をかけて潔く散っていく桜の花に、日本人は人生を投影し、そこに他の花とは別格の美しさを見出している。

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