2009.02.21 Saturday 02:16
くっくり
■国民のアイデンティティ
私はちょくちょく中国に行きました。友人がいてよく呼んでくれたんですが、とにかく辺境なんです。司馬(遼太郎)さんのいく中国というのは、万里の長城の向こう側、つまり辺境から北京、こちら側を見るというのが、司馬さんの中国観だというふうに私は考えていました。
辺境の中で印象に残っていることを一つばかり申し上げますと、こんなことがありました。麗江という、今は世界遺産になり有名になったところなんですが、そこに行った時の話なんです。
そこにはナシ族という有名な、固有の文化を持った音楽宗教の民族が住んでいる。そこの和麗梅という二十四歳の女性と知り合いました。地元の民族学校に通っている人で、綺麗な顔だった。一緒に玉龍雪山という五千五百九十メートルの山に登っていたんです。
そのとき、二十四歳なら結婚だなーというと、私は今年結婚できませんというんです。どういうことだよと聞くと、ナシ族には掟がありまして、十二、二十四、三十六など、四の倍数の年は結婚したり、転職したり、引越ししたりはできないと言うんです。
え、何言ってんだよ、バカなことを言うなよ、いい若いもんが。迷信とか因習など、これからの人は破っていかないといけないじゃないかというと、石井さんはそう言いますが、これはナシ族の文化、掟なんですと。これを守らないと、私達は漢族と同じになってしまうんです、と言う。
中国は民族同化政策で、結婚でもなんでも、血の同化でもやっていましたから、私達ナシ族がナシ族でなくなってしまうんです、と言いました。
私はそれを聞いた時に、これもまた頭をぶん殴られたように立ちくらみがして、きれいな霊峰の川のほとりにしゃがみこんでしまいました。
新疆ウイグル自治区に行った時に同じようなことがありました。
首都ウルムチからカシュガルまで千何キロあるんですけど、そこで新疆鉄道がひけたという、七、八年前に。鉄道が開通したというので、行く行くと乗ったんです。
一緒に乗ったのが、マリア・サキムさんという人だったんですね。その方は日本の東京理科大学に留学していたので日本語は私よりもうまい。薬草の生化学の先生だったんです。ところが車内で突然、急に涙ぐんでしまったんです。
どうしたんだと聞くと、サキムさんはウイグル族の歴史を考えたという。このタクラマカン砂漠のタリム盆地は、七世紀から八世紀にかけていろんな民族が入り混じり、治乱興亡が続きます。
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