中国の「上策」に惑わされるな

2006.05.20 Saturday 03:49
くっくり


■産経朝刊5/19一面(ネットソースなし)
 <首相を選ぶのは誰か〜中国の戦略目的変わらず>
 湯浅博(本紙東京特派員)
 最近、相次いで飛び込んできた日中関係についての三つのニュースに、関心をそそられている。

 中国があれほど嫌っていた麻生太郎外相との外相会談をなぜ再開するのか。中国が戦後収容していた戦犯千人を「寛大な処分」で起訴免除したとする外交文書をなぜ公表したか。そして、経済同友会が小泉純一郎首相の靖国神社参拝に再考を求める提言を、なぜこのタイミングで発表したかである。
 これらは、中国が「ある意図」をもって、より柔軟な外交戦術を選択したことと無縁ではない。注意を要するのは、戦術が変わっても戦略目的は変わっていないことである。

 時系列で動きを追ってみると、転換の理由には二つが考えられる。

 第一は、三月に胡錦濤主席が日中友好七団体を北京に呼んで、ポスト小泉候補向けに「靖国参拝をやめよ」とゲンメイしたことである。日本の内政に嘴(くちばし)を挟んだから、かえって親中派候補も動きづらくなった。ひいきの引き倒しである。
 一説には、中国外務省が「靖国に言及せず」を進言したのに、胡主席の元に届く間に旧来の圧力外交に戻ったという。圧力に屈しやすいと信じるあちら中国のジャパン・スクールの古い思い込みだ。

 第二に、四月の米中首脳会談の失敗である。強固な日米同盟によって小泉首相の靖国参拝批判にブッシュ大統領を引き込めないと判断した。さしたる成果もなく、当面は日米分断が困難なことを悟ったようだ。

 その結果、胡錦濤政権は対日政策の舵(かじ)を切り替える。孫子の兵法でいえば、乱暴な「下策」から知恵を絞る「上策」に転じたということだ。これまでの「下策」は首相の靖国参拝への激しい非難や領海侵犯などで目に見える。だが、「上策」は日本国内の親中派を巻き込み、言葉巧みに利益誘導を図るから見えにくい。

 日本人は情報工作の「インテリジェンス」にウブだから、実はこの方がよっぽど手ごわいといえる。
 表向きは交渉努力で日本国民の反発を和らげ、背後ではインテリジェンスによって戦略目標を達成する。ただ「反日」は、人々を共産党につなぎとめるための格好の材料だから、靖国神社を恨みの標的に使う利便さはいささかも減らない。

 では、胡政権の「上策」とはどんな手立てになるのか。おなじみの女性がからむハニートラップによる籠絡(ろうらく)がある。日本国内にいる中国人の研究者の活用であり、日本の経済界やメディアが標的になる。

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