2008.03.25 Tuesday 01:18
くっくり
李 現時点では、私はどちらの候補を応援しているとも言いません。台湾に民主主義が根づき、民主的な選挙で総統が決まれば良いのであって、私のような老人が口出しすることじゃないですから。
ただ、「馬氏は親中反日、謝氏は反中親日」といったような短絡的な見方は間違いです。馬さんは、世間で言われているほど北京政府との関係は深くない。なぜなら投票日まであと一ヶ月ですが、今に至るまで、北京政府は馬さんを大陸に招待していないでしょう?
深田 確かにそうですね。二〇〇四年の総統選挙では、北京政府は国民党の連戦候補(当時)を大陸に招待し、大規模なセレモニーまでやってみせた。しかし、前回の失敗に懲りて、表向きは無関係を装っているだけでは?
李 いや、馬さんは選挙演説の中で、きちんとした対中外交ビジョンを打ち出せていません。もし北京の入れ知恵があるのなら、もう少しそれらしい外交政策が表に現われるはずです。ここからは多少の憶測も交えますが、馬さんとアメリカの関係は予想以上に深いものがあり、それを北京政府は察知したのではないかと考えられます。
むしろ胡錦濤さんは、謝さんが総統に就任したほうがやり易いと考えているふしがある。陳水扁総統のことは嫌いでも、民進党とはパイプを維持したいはずです。
深田 それは意外ですね。しかし、日本でも「反中」で鳴らしていた安倍前総理の時代にむしろ日中関係が改善されました。逆に「親中」の福田政権では、期待されたほどの外交成果はありません。
ただ、陳水扁総統が推進した「独立」への気運が消えてしまうのではないかという懸念が残ります。
李 深田さん、台北空港から入国する時に中国のスタンプを押してもらいましたか?(笑) すでに台湾はれっきとした独立国ですよ。独自の民主政府、通貨、軍隊を持っているのですから。アメリカの「台湾関係法」でも「台湾を諸外国または政府と同様に扱う」と定められており、安全保障上も普通の国家と変わらない。
今、台湾に必要なのは、「独立宣言」でも台湾名義での国連加盟でもない。われわれの力で作り上げたこの国を守り、地球上に存在しつづけることなのです。
深田 なるほど。名にこだわっていらぬ緊張を招くよりは、実をガッチリ押さえておくほうが合理的ですからね。
李 ただ、台湾の民主化の流れは、この八年間で明らかに後退しました。汚職が横行し、政治家の志も低下しています。なかでも民進党の経済政策の失敗は目に余るものがあります。外から見れば台湾経済は悪くないように見えるのかもしれませんが、格差は拡大し、失業者や低所得者へのセーフティネットも不十分なため、社会不安が増大しています。IT産業なども国際競争力を失いつつあります。
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