外国人から見た日本と日本人(5)

2008.02.11 Monday 02:58
くっくり



 しかし、いたるところに上質な旅館があり、そこでは便所や食卓などのあらゆる設備がきわめて清潔で、サービスも丁寧でゆき届き、契約通りに仕事が進んで行われることを知った時、あるいはまた、外国人が休憩のために村の宿屋に立ち寄ると、光も空気も遮ってしまうほど大勢押しかけて、口を開いて見物している人びとにさえも、最も丁寧で快い作法を見出す時、この国民の生活の特殊な面について以前くだした評価を訂正し、日本には、われわれ自身の文明とは多くの重要な点で異なってはいるが、たしかに高いタイプの文明が存在するのだと結論しないわけにはいかない。

〈中略〉日本人の尺度によると、たんに健康や清潔のためとか、せねばならぬ仕事をするのに便利だからというので、たまたまからだを露出するのは、まったく礼儀にそむかないし、許されもすることなのだ。だが、どんなにちょっぴりであろうと、見せつけるためにだけからだを露出するのは、まったくもって不謹慎なのである。

 前者の例としては、開放された浴室や裸の労働者、じめじめした季節に着物をまくり上げて下肢をむき出しにすること、夏に田舎の子どもがまったく裸でいること、暑い季節には大人さえも、家のまわりや田園でちょっぴりしか衣服を身につけないのが必要とされていることがあげられる。後者の例としては、西洋の衣裳がからだは完全に覆っているものの、腰から上の体型のあらゆる細部をあらわにしており、きれいな体型を見せつけようとしていることに、多くの日本女性が嫌悪を感じていることを申しあげておきたい。

■ブラジルの新聞
1908年6月、ブラジルのサントス港に日本からの最初の移民781人を載せた笠戸丸が到着した時の様子を伝えた当時のブラジルの新聞に報じられた内容(ブラジル日本移民80年史より)

 然るに驚くべし。彼ら(日本人移民)の去りし後には、一つの煙草の吸い殻も一つの吐唾もあらざりき。是れ他国移民が忽ちその居所を踏みにじりたる煙草殻及び吐唾を以て不潔を極むるに比して雲泥の差なり。

■ブルーノ・タウト=ドイツ人。建築家。ナチス政権に職と地位を奪われ国外へ。1933年(昭和8年)5月に日本を訪れそのまま亡命。日本では建築の機会に余り恵まれなかったが、その一方で建築理論の構築に勤しみ、桂離宮を評価した著書を著したり、熱海の日向利兵衛別邸でインテリアデザインを行った。日本人建築家に伝統と近代という問題について大きな影響を与えた。著書に『ニッポン』『日本美の再発見』など。

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