2007.08.11 Saturday 00:04
くっくり
●なぜ独立運動にかかわったのですか?
国際基督教大学で学んでいたころ、イタリア系英国人の詩人クリスティナ・ロゼッティの「わが心をあたためる国に幸いあれ 慈しみ深く 心を喜ばしめる土に…」という作品を読み、心の琴線に触れる思いがしました。海外に来て初めて台湾への愛を知り、山や川や野原が思い浮かんできました。その台湾が独裁政権下で汚くなったりみじめになったりすることに耐えられなかった。台湾人が幸せになるには大陸と同じひとつの中国ではだめだ、台湾だけの独立国にならなくてはいけないと思ったのです。
●当時の台湾は戒厳令が敷かれていましたね?
ええ、約40年の長期にわたって続きました。主人は早稲田大学に留学していたのですが、当時、東京の中華民国大使館から修士論文の内容について圧力がありました。日本の台湾出兵をテーマにしたら文化担当参事に「(ひとつの中国が国是なのに)地方主義的な色彩が強すぎるのではないか」と言われたのです。
東大に移って博士論文を書いているときには、心配した指導教授に「政治学を学ぶ者は、実践の政治にたずさわるべきではない」と諭されました。しかし主人は「日本のように安定した国と違い、台湾ではまだ学問と現実を区別するというぜいたくは言ってられない。学者であると同時に実践も必要なのです」と、説明したのだそうです。
●許氏は独立運動を続けながら津田塾大学で教鞭をとり、盧さんは日本で2人の子供を産み育てたわけですが、夫婦一緒とはいえ、よく耐えられましたね?
それは主人にほれていたから(笑)。クリスチャンの信仰があったからでもあるでしょう。留学できた恵みを台湾社会に還(かえ)したいとも思ったのです。
多くの日本の方々の助けがあってできたことでもあります。私たちの滞在が問題だとして送還されそうになったとき、親しくしていただいていた作家の阪田寛夫先生が保証人になってくれたうえに、「身の安全を考えなさい」と、海外渡航費用まで準備していると言ってくださった。ほかにも作家の阿川弘之先生ら、多くの方々から励ましや助けをいただきました。
●再来日からすでに3年。古き日本を知る外国人として、今の日本はどう映りますか?
日本では最近、不平等が広がっている、二極化が進んでいるといわれています。中国や韓国からはバッシングを受けることも多いですね。しかし、この半世紀にわたって民主的で平等な国であり続けた。台湾もまた、民主化されて平等になりました。台湾の人々は、アジアでは日本と台湾だけが平等な国だと思っています。だから、自信を持ってほしいです。
[7] << [9] >>
comments (30)
trackbacks (1)
<< 「アンカー」南北首脳会談開催へ&ARF日本外交大失態
全閣僚8・15靖国参拝見送り >>
[0] [top]