2007.06.04 Monday 16:29
くっくり
青森県の深浦港に入ると、「北朝鮮から、自由を求めて来た」と話したという。言葉の通りだとすれば、北朝鮮の東北部から5日あまりかけて、900キロもの距離を渡ってきたことになる。
深浦港にいた釣り人や漁師たちは「よくもあんな粗末な船で」と驚いた。高い波が来れば、途中の日本海で転覆しかねない古びた小舟。持ち物などから、北朝鮮の工作員でないことは、ほぼ間違いなさそうだ。だとすれば、追いつめられた家族が、本当に命がけで海を渡ったということか。北朝鮮での厳しい生活の一端がうかがえる。
4人はいま、青森県内の警察署に保護され、担当者らが事情を聴いている。
脱北した人が、直接日本に着いた例は87年の「ズ・ダン号」以来と見られる。今回の漂着に日本がどう対応するのか、各国も注目しているだろう。
まずは4人の健康状態などに十分気を配ったうえで、詳しい経緯や希望をじっくりと確かめてほしい。そのうえで、人道的に対処していくことが必要だ。
日本では昨年6月、北朝鮮人権侵害対処法が施行された。その中に、こんなくだりがある。
「脱北者の保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努めるものとする」
今回の出来事は、直接渡ってきた脱北者に対し、この法律にのっとって対処する最初の事例になった。政府の適切な対応が求められている。
4人は「韓国に行くつもりだった」と話しているという。日本政府と韓国側とが調整を進めた結果、どうやら本人たちの望みはかないそうだ。
脱北者への対応には、こうした近隣各国との連携が欠かせない。
北朝鮮から周辺国への脱北者は、90年代の後半から増え続けている。食糧難が伝えられるなかで、今後、さらに広がる可能性もある。
今度のことで日本と朝鮮半島が、小舟で渡れるほどに近いということを、改めて実感させられた。
この先、脱北者とどう向き合っていけばいいか。受け入れ態勢や枠組みなどを、普段から周辺各国で話し合っておくことが大切だ。沿岸警備のあり方にも新たな課題ができた。
もう一つ、目を向けておきたいことがある。
今回のケースとは事情が異なるが、日本にはすでに100人を超す脱北者が暮らしている。大半が、かつての帰還事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人と日本人配偶者、その家族たちだ。
脱北者を支援するNGOなどが力を貸しているものの、日本語教育や就職などを含め、生活支援の手だては乏しい。
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