2007.05.06 Sunday 02:00
くっくり
産経新聞5/1朝刊政治面掲載
【野口裕之の安全保障読本】
大高未貴さんと世界を語る(上)イスラエル編
徹底報復が暗黙の“国是”
「代理戦争」の愚 気付くべき
多くの日本人は恒久平和を信じて疑いませんが、世界史をみると過去5000年で戦争は1万4000回以上あったといわれています。国家存亡に直結する安全保障はどうあるべきかを読者のみなさんと考えるため今月から月に1度、「安全保障読本」を連載します。それに先だって、ジャーナリストの大高未貴さんと硝煙漂う世界の今について語り合いました。
野口 数多くの紛争地でルポを手がけ、多くの指導者に取材されていますね。
大高 危険だった時期のイスラエル・ガザ地区や、女性ジャーナリストとして初めて“女人禁制”のタリバン政権下だったアフガニスタン、パキスタン北西部国境の無政府地帯、チベットにも行きました。
野口 今回はイスラエル・パレスチナ情勢についてうかがいます。まず、イスラエルの社会と国防軍(IDF)の関係を教えてください。
大高 国民皆兵制のイスラエルでは、相手を知ろうとする場合、日本では会社や役所での地位や学歴を聞きますが、イスラエルでは真っ先にIDFでのポジションを聞く。それで相手がどの程度の人物か察しがつきます。IDFは先端軍事技術の民間転用で基幹産業のハイテク業界への影響が強く、経済界ともつながりが深い。
野口 軍事と政治経済、そして国民が一体になっている。
大高 イスラエルの人々は、徹底した個人主義ですが、同胞が殺されたときには一致団結し徹底抗戦する。その気質を熟知するパレスチナ人は「イスラエルはパレスチナやアラブという敵がいるおかげで成立。敵が消えたら即、内部分裂を起こす」と皮肉っています。1972年のミュンヘン五輪で、イスラエル選手団11人がテロで死んだ事件では数年かけて首謀者ら関係者20人以上を報復暗殺しました。自国民が理不尽な厄災に見舞われたら徹底的にやり返す。それが暗黙の“国是”になっています。
野口 一方で、自国将兵の命を守るためには、大胆な譲歩もする。
大高 1985年5月、レバノンでPFLP(パレスチナ解放人民戦線)に拉致された軍人3人の奪還では、イスラエル刑務所にいたパレスチナ人の政治犯や殺人犯ら1150人を解放した。この中には、日本赤軍の岡本公三容疑者もいました。4人がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(神の党)に拉致された事件では、パレスチナ人ら443人の政治犯を釈放した。背景には、「1人の兵でも救出しなければならない」という思想があります。
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