【過去】独特の災害史観を持つ日本人は何度も立ち向かい乗り越えてきた
2018.09.15 Saturday 00:24
くっくり
紛争、つまり「人為」で命を落とした場合は、相手を恨んだり、なぜ負けたのかを考えます。次に備えて論理で考える思考が得意になり、それは都市設計にも影響してきます。
例えば中国の長安は高い城壁で町を囲んでいましたが、平城京は城壁を採用しなかった。その違いは、「外から敵が攻めてくる地かどうか」でした。
日本の場合は外壁がなくても誰も攻めてきませんでしたが、災害などの「天為」に見舞われてきました。
多数の死者が出ても、原因が災害では恨む相手がいません。
現代ならともかく、科学技術も発展していなかった時代ですから、災害への予測も備えもままならなかった。抗議する相手もいなければ、防ぐ方法もなかった。……
と、述べた上で、大石氏は論文をこうまとめています。
……このように、日本人は中国や欧米のように理屈で説明できる「人為」でなく、「天為」で命を落としてきた民なのです。そして「天為」で命を落とした死者への思いは、「安らかに成仏してください」というものにしかなりえない。
人が大勢亡くなった時、あるいは愛する者の死に接したとき、人間は最も深くものを考えるものだと思うのですが、圧倒的な自然の力による災害で多くの人が亡くなる経験をしてきた日本人は、「ただひたすらにその死を受け入れる」民になったのです。
人間同士のいさかいではなく、自然のみが驚異であった日本人の精神性が、他国と違っていても全く不思議ではありません。
日本人はグローバル化が進むなかで「人為史観」「紛争史観」の国々とわたり合っていかなければならなくなり、契約の仕方、主張の仕方一つとっても「世界標準と違う」と指摘され、「遅れている」かのように批判されてきました。日本人自身も立ち位置を見失いかけていました。しかし、これは歴史によって培われたものですから、不安に思ったり、自信を失う必要はないのです。
今回、人知を超えた規模での大きな災害が日本人を襲いました。しかし冒頭でも触れたように、日本人はこれほどまでの甚大な被害を前にしても、泣き崩れることなく、略奪なども起こさず、秩序だった避難生活を送っています。このような態度は阪神大震災のときにも世界の賞賛を受けましたが、これは歴史的に培われた、けなげさ、勤勉さなのです。
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