ハンガリー出身女性が見た日本…川口ユディさん「正論」18年3月号

2018.07.14 Saturday 00:47
くっくり


 黒澤の映画にしても安部公房の本にしてもみんな読んでたんです。
 それまでの日本人だったら俳句について「どんな俳句好きですか」なんて聞いても「ああ、私は俳句、読まない」という日本人ばかり。
 「あれ、なんで?」みたいな。
 分かる?

(井上:分かります。分かります)

 日本人なのに日本の文化を知らないんですよ。
 彼と会うまでの日本人ってそういう日本人ばかりだった。
 でも主人に聞くとなんでもすごく細かく説明してくれるんです。
 仏教から俳句まで、ああ、よく日本のことを好きでよく知っているなあ、OK、面白い。
 じゃあパーティー連れていこう、みんな、喜ぶし。
 だから良かったんです。

(井上:それでお付き合いが始まったというわけですね)

 そうですね。
 友達になってそこから付き合い始めて。
 で、つきあい始めてからしばらく経って、韓国と日本へ行きました。
 韓国人の仲間がいて、初めてアジアに来たときにまず韓国に行って、そのあと日本。
 韓国も良かったけど、日本へ来たときにもう別世界と思った。
 これはオッケー。
 I can live.と思った。
 やっぱり人がいいんだ。
 発展していて、楽しい。
 文化だって深い。

(井上:文化が深い、ですか?そう思った具体的なエピソードってありますか?)

 例えば、どこを歩いていても、小さな神社があるでしょう。
 例えば、大手町のような、こういう高層ビルの街にだってちゃんとある。
 そういうちょっとしたことが、面白いんですよ。
 あと街を歩いていたら突然、お祭りを見ることだって全然珍しくないですよね。
 あれいいですよ。
 そういう光景って全世界を見渡してもないと思うのです。
 暮らしや経済が発展したら祭りはなくなる。
 これが普通。
 でも日本人は祭りを本当に大切に守っているでしょう。

 そしてお祭りの数がまたすごいじゃないですか。
 どこを運転しても必ず祭りにぶつかるじゃないですか。
 日本人ってめちゃくちゃユニークですし、温泉の文化ひとつとっても人に優しい。
 日本人の超優しいこと。
 人はいいし、純粋さを感じますよ、日本へ来ると。
 だから1回、日本に住むともう日本から離れたくない。

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