文化財修理予算と中国産漆はどうなった?…英国人社長の闘い【続報】

2017.02.23 Thursday 01:20
くっくり


東照宮の「眠り猫」修復終え公開 60年ぶりのお色直し(共同通信 2016/11/28 18:48)

 
 ですが、文化財行政にはまだまだ問題が山積みなんだそうです。

 入札方式もそのひとつ。

 文化財修理は、基本的に一般競争入札か指名入札ですが、最低制限価格がないことが多いそうです。
 極論を言えば、1円で入札しても問題はないということです。

 入札した会社が実際に大きな規模の修理を行えるか、債務超過していないかなどの査定もありません。
 実績や職人の有無さえ確認しません。

 先日、ある彩色工事を、彩色の実績もなければ、職人もいない漆専門会社が安く落札したそうです。

 アトキンソンさんがその会社の人に尋ねると、「お金に困っており外注はしない」「自分たちで頑張って何とかする」という趣旨の返答が…。

 これではクオリティーを保つことはできませんよね(T_T)

 アトキンソンさんは、現在の入札方式を、次のいずれかに変更すべきだと提案されています。

★総合評価落札
 価格以外の、技術など他の要素を含めた項目を評価して落札者を決定する方式
★規格競争入札
 複数の業者から企画提案や技術提案を提出させて審査し、契約する方式
★随意契約
 競争入札によらずに、任意で決定した相手と契約を締結する方式

 なぜ現在のような入札方式がまかり通っているのでしょうか?

 原因のひとつは、現在の文化財行政では文科省、都道府県、市区町村では教育委員会の中に組み込まれていることにあると、アトキンソンさんは言います。

 文化庁や教育委員会の持っている入札方式のノウハウだけでは、明らかに不十分で、詳しいノウハウは、公共工事を行う国交省が持っているそうです(市町村では建築部など?)。

 ただ、国交省の人間は教育委員会の落札に関わるなどという余計な仕事はしたくないし、責任も負いたがりません。

 教育委員会の人間も、文化財を「修学旅行で学生に見学させるもの」といったレベルでしか考えないのだそうです。

 だから、この非常識な入札制度は一向に改善されないのだと。

 文化財は観光の要だから、日本が本気で観光立国を目指すのであれば、観光庁や文化庁がバラバラに動くのではなく、一元化された「文化スポーツ観光庁」を作るべきだ!

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