昭和天皇崩御報道の“戦場”を描いた青山繁晴さんの「平成」が文庫で“復刻”!

2016.08.14 Sunday 03:16
くっくり



 昭和天皇崩御の「Xデイ」はいつ訪れるのか。
 その報道の最前線にいる記者・楠陽に関係者が衝撃のひと言を洩らした。
 「陛下は吐血。洗面器一杯くらい」。
 その時、現場で何が起こっていたのか。
 そして新元号を「平成」に決めた、政府の知られざる思惑とは。
 著者自身の記者時代の経験を源に、圧倒的なリアリティーと臨場感で紡ぎ出す傑作小説。

 これは出版社が出した文章だと思います。

 まるで物語が「陛下は吐血。洗面器一杯くらい」から始まるかのように見えますが、実際にその場面が出てくるのは、4分の3ほど経過してからです。

 物語の始まり、すなわち「昭和の終わりの始まり」は1987年(昭和62年)8月29日。
 中曽根総理の何気ない一言が発端でした。
 (「陛下吐血」の報道は1988年9月29日)

 天皇報道の“戦場”で、主人公の楠陽(くすのき・よう。まさに青山さん)は困難な取材を重ねていきます。

 楠がデスクから要求された取材は、大きく分けて4つありました。

(1)天皇陛下のご容態を正確に掴み、
   発表では隠される部分を全て通信社が知っているようにすること。
(2)天皇崩御の瞬間を発表の前に、
   しかもどの社よりも早く世界へ打電、速報すること。
(3)昭和に代わる元号は何か、
   考案者は誰かを新元号発表の前に「抜く」こと。
(4)内閣が用意しつつあるマニュアルの全容を入手すること。

 さて、楠はこの4つの“ミッション”を達成できたのでしょうか?

 当時の政局も絡めながら、官僚やメディア人らとの“攻防”が、生々しく描写されています。

 中曽根総理など実名で出てくる人物(政治家)もいますが、大半の人物は仮名もしくはフィクションです。

 女性記者との恋愛一歩手前の描写は、読んでいてドキドキしましたが、残念ながら(?)これもフィクションだそうです。

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