2015.10.03 Saturday 02:42
くっくり
中国人による“数字”について、私は2005年夏、興味深い体験をした。
「文藝春秋」の企画で杏林大学客員教授の田久保忠衛氏と共に北京を訪れ、中国を代表する学者2名と共に日中歴史問題について論じたときのことだ。
中国側の学者両氏は、歴史問題では日本が悪いとの主張を、表現を変えて繰り返した。
私は彼らに、320万人から570万人、2168万人、さらに3500万人へと被害者数が増加した根拠について問うた。
さらに、たった一種類しかない中国の国定教科書で、日中戦争の犠牲者は1960年までは1000万人と教えられ、85年には2100万人と改訂され、95年には3500万人と、なんの説明もなく増えていったのはなぜかとも問うた。
彼らは当初、右の問いには全く答えようとせず、話題を他の点に移そうとした。
しかし、中国流の事実の歪曲を知るにはどうしても答えてもらわなければならない。
三度目に問い質したとき、中国社会科学院研究所研究員の歩平氏が次のように答えたのだ。
「戦争の犠牲者についてですが、歴史の事実というのは孤立して存在するのではなく、それは感情というものに直接関係してくるということを申し上げたいと思います」
馬脚を露すとはまさにこうしたことだ。
日中戦争の犠牲者の数の理不尽な増加が国民感情に直結していると言うのであれば、その数は日本への恨みと憎しみの感情表現に他ならず、歴史事実とはなんの関係もない。
しかもその恨みと憎しみを愛国主義教育によって植えつけ、増幅させるのが中国の国策である限り、反日感情も、犠牲者数も、その主な部分は中国政府自らが創作したものだと言われても弁明できないだろう。
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