「最近朝鮮事情」衆議院議員が見た20世紀初頭の朝鮮(2)終

2015.08.22 Saturday 02:25
くっくり



●朝鮮の水路は、日本に比べて河が大きい上に流れが速やかなのが多いから、従って相当に舟運の便利が多い。けれども昔から河を浚(さら)えたり堤防を築いたりなど治水と云うことをしないで自然のままにして居るから、川の割合にその利が少ない。もし治水を完全にしたらその便はまだまだ盛んになって来るに違いない。

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[1904年の平壌。George Rose撮影]


<朝鮮の宿屋>

●朝鮮の宿屋は酒幕(チューマク)と云うて、村落でも一二里の間に一ヶ所以上は大抵ある。少しの市場や駅場などになると沢山ある。いかな田舎でも酒幕の無い所はない。

●酒幕と云うのは宿屋と云うよりか、飲食店と云うたがよい位で、宿料と云うのは飲食料の事で、飲食しなければ別に宿料は入らぬ。しかしこれが朝鮮の宿屋で、この外に宿屋と云うものは無い。

●飲食が主で、客室と云うことには更に頓着せず、又寝起きの事など一向平気である。そこで僅かに一二間の温突(オンドル)に十何人も混宿さして構いもしない。勿論夜具もなければ只アンペラか蓆(むしろ)などを敷いて居る位のことであるから、飲食料の外に宿泊料もとらないのも当然である。

●最も日本人には大抵一室を全貸しにしてくれるし、夜具は無くとも温突の暖かみで別に寒くは無い。もし毛布など用意して居れば訳は無い。しかし夜が更けるに従って、蚤や虱(しらみ)又は朝鮮人がピンデと称(とな)える床虫などがやって来るから、慣れないうちは安眠することが出来ない。故にこれを予防することが肝要である。

●(宿屋の食べ物は)随分不潔の感が有って、始めは閉口するが慣れれば同じことである。日本人など食料品や寝具など携帯して旅行する人もあるが、そうなると中々おっくうだ。

●もし朝鮮臭い一種の臭気と、蒜臭い食物を食べることが出来て、不潔なのを辛抱すれば、朝鮮の旅行はすこぶる容易で、費用も至って僅かで済む。その間又自然朝鮮慣れて一種の愉快も感ぜられるし、朝鮮の事情を知るには最もよい。朝鮮に旅行するものはその位の勇気が無くてはならない。只注意せねばならぬのは、朝鮮の家は締りが不十分である上に、朝鮮人は平気で窃盗もやる方だから、手荷物などは酒幕の主人に預けるか、その他の用心がいる。

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