鈴木史朗さんの引き揚げ体験「私たちの財産を取り上げた中国が、いまも謝罪や賠償を求めてくるのは許せない」

2015.08.10 Monday 01:22
くっくり



各連合国は、次に掲げるもののすべての財産、権利及び利益でこの条約の最初の効力発生のときにその管轄の下にあるものを差し押さえ、留置し、清算し、その他何らかの方法で処分する権利を有する。(a)日本国及び日本国民、(b)日本国又は日本国民の代理者又は代行者、並びに(c)日本国又は日本国民が所有し、又は支配した団体。

中間賠償と同様に、ヴェルサイユ条約でドイツに課せられた膨大な賠償金がドイツを再び戦争へと向かわせたことへの反省から、できる限り在外資産を没収する形での賠償をさせようという方針がとられた(第二次世界大戦後のドイツにも同様の措置がとられている)。例えば中国(中華民国)は賠償金請求権を放棄しているが、在外資産による賠償は受けている:

日本国代表:私は、中華民国は本条約の議定書第一項(b)において述べられているように、役務賠償を自発的に放棄したので、サン・フランシスコ条約第14条(a)に基き同国に及ぼされるべき唯一の残りの利益は、同条約第十四条(a)2に規定された日本国の在外資産であると了解する。その通りであるか。

中華民国代表:然り、その通りである。(日華平和条約に関する合意された議事録)。

なお、中国(中華民国及び中華人民共和国)はサンフランシスコ平和条約の締約国ではないが、同条約第21条の規定により、第14条a項2および第10条の利益を受けるとされた:

第十条 日本国は、千九百一年九月七日に北京で署名された最終議定書並びにこれを補足するすべての議定書、書簡及び文書の規定から生ずるすべての利益及び特権を含む中国におけるすべての特殊の権利及び利益を放棄し、且つ、前記の議定書、附属書、書簡及び文書を日本国に関して廃棄することに同意する。

これにより中華人民共和国は旧大日本帝国政府と日本国民が中国大陸(東部内モンゴルおよび満州含む)に有していた財産、鉱業権、鉄道権益などを得たとされる。

一方、朝鮮には第14条の利益を受ける権利が与えられていない。朝鮮など太平洋戦争開戦前より既に日本領であったがサンフランシスコ平和条約により日本から分離されることになった地域にある資産に関しては、第4条で「当該地域の施政当局・住民の対日請求権の問題を含めて施政当局との間の特別協定の対象」とされ、朝鮮は第21条でこの利益を受ける権利を有するとされた。

[7] << [9] >>
comments (4)
trackbacks (1)


<< ロンブー淳のテレビ批判!領土問題でツイッター炎上の裏話も 「カツヤマサヒコSHOW」より
安保法制で60日ルール使わず、内閣改造、消費増税など今後の政局は? 青山繁晴「インサイト・コラム」 >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.04R]