「逃げたとは書いていない」「強制連行とは書いていない」朝日知識人の騙しの論理!「WiLL」2月号より

2015.01.05 Monday 18:46
くっくり



山田 それなら海外メディアにそう言ってください。朝日が書いたことは取り消さなければならない記事だとは、私には思えません。たしかに「命令違反」というタイトルはきつい表現だったかもしれない。しかし内容は事実を書いている。木村社長が記者会見して詫びる話でも、記事を取り消す話でもありません。
 木村社長もPRC(報道と人権委員会)も、「命令違反とは命令が伝わっていたのにこれに逆らう行動を指すもので、命令が伝わっていなかったのだから命令違反とはいえない」とか「違反する意思がなかったのだから違反ではない」などと言っていますが、滑稽ですよ。普通だったら頑張っている現場の記者を擁護すべき経営陣が、謝罪する口実に記者を生贄(いけにえ)に捧げて自分たちが逃げる理屈合わせをしている。
 一番槍を持って前線で頑張っている兵士を置き去りにして大将が一目散に逃げるようなもので、こんなことをやっていたら頑張る記者は誰もいなくなってしまう。
 本来なら、慰安婦報道で謝罪し、池上彰氏のコラム掲載拒否問題で責任を取るべき社長が、不手際を認めたくないあまり、自分たちの関与が少ない吉田調書の記事を口実に謝罪した、というのが顛末(てんまつ)ではないかというのが私の見立てです。
 櫻井さんは批判されるかもしれませんが、調査報道に一所懸命取り組む優秀な記者をもっと大切にしなければならない。

櫻井 この記事を書いた記者が優秀な記者なら、朝日新聞はもう絶望的です。言論活動をする者にとってはある一つの事象も重要ですが、物事の全体をカバーして事実を正確に伝えるのがメディアとしての最低限の責務です。ところが、それすらできていない。そんな記者が優秀な記者だとは私は思いません。

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山田 記事は結果として「命令に反する行動」があったことを書いたもので、解釈の問題です。取り消すような内容ではありません。そもそも新聞社であればまず「訂正」であって、「取り消す」などというのは新聞社の発想ではない。記事はそんな軽いものか、と本当に怒りが込み上げてきました。
 いま、朝日はどう思われているか。「記事なんてはじめにシナリオありきで、取ってつけた取材で書かれているんだろう」というような印象を持たれてしまっている。そんなことはない。信頼を取り戻そうと現場の記者が頑張っているときに、経営者が自分たちが逃げるために部下を差し出して「そうです。こいつらダメな記者で、いつも思い込みで書いていて取材もろくにしていないんです」と、朝日を批判する側に同調した。現場はやっていられませんよ。本当に情けない気持ちでいっぱいです。

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