2014.10.06 Monday 16:43
くっくり
8月5日の朝日新聞の慰安婦検証報道以来、日本のマスコミは大揺れに揺れている。慰安婦問題では特に、故・吉田清治氏による「済州島における強制連行」証言を朝日が虚偽と認めたことが反響を呼んだ。
11日、木村伊量・朝日新聞社長は記者会見で原発報道の誤りとともにこの件を謝罪した。すると、安倍晋三首相は自らテレビなどで、この誤報が日本の名誉を傷つけたこと、国際社会への取り消しに向けて朝日はもっと努力すべきだと発言した。
あたかも「嫌がる少女をトラックに強制的に乗せた」という「狭義の強制性」がなかったと証明するために世論が雪崩を打った観がある。
朝日の「虚偽報道」とその是正は、日本のジャーナリズムのあり方という点では真剣に考えねばならない問題である。しかし、慰安婦問題という観点で見る限り「狭義の強制性」の有無の問題に、もはや国際世論はほとんど関心を持っていない。米国と西欧の世論の決定項は、今、自分の娘がそういう立場に置かれたらどう考えるかにある。
「甘言をもって」つまり「だまされて」連れて来られた人がいたなら、トラックに強制的にぶち込まれた人と本質的にどこが違うのかという立場に収斂(しゅうれん)しているのだ。
ましてや、吉田証言については、この問題について日本で最も権威を持って研究してきた秦郁彦氏と吉見義明氏との間で、既に1997年に「強制連行を示す資料はなかった」との結論がでている。いわば決着済みの問題である。
私は、6月20日の「慰安婦問題をめぐる日韓間のやりとりの経緯」報告書が有識者委員会で発表されてから、問題解決に向けての好ましい動きがわずかながらも始まったと観察していた。報告書自体には、慰安婦問題で謝罪した93年の河野談話作成過程で、慰安婦に対する狭義の強制性を認めていたことを示す箇所はなかった。韓国政府も、良心的に仕事をしただけのように思えた。さらに談話の当事者の河野洋平氏がいわば報告書の内容を追認する声明を出したことにより、河野談話の支持基盤が広がったようにも見えたのである。
慰安婦問題は、日韓関係の当面の最重要課題となっている。今、韓国で生きている約50人の元慰安婦の方たちとの間で和解を成就させなければならないと思う。彼女らの心にしみとおる気持ちの表明と、かつては「アジア女性基金」で民間からまかなった償い金を、政府予算で拠出する。この2点を核とする和解の枠組みをつくる。そのためには、朴槿恵大統領をはじめ韓国側との全面的な共同行動が必要だ。
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