2014.10.06 Monday 16:43
くっくり
朝鮮半島でも事情は同じだった。帝国大学卒の初任給が75円の頃に、300円の月収を約束した新聞の募集広告に惹(ひ)かれ、慰安婦を志願する娘たちもいた。募集段階で強制連行する必要はなかったのである。
頻発する兵士たちの強姦と現地の遊里を利用するため性病の増加に悩んだ日本軍は、御用商人の業者が経営する慰安所を憲兵と軍医が監督する方式を採用した。需要と供給が合致して成立する商取引だから、どちらが主導したかを論じる意義は乏しい。
それでも利用規則を定める際、兵士への好サービスを期待する軍側は飲酒や暴力を禁じ、業者との収入配分では女性側に肩入れした。1944年に北ビルマで捕虜になった20人の朝鮮人慰安婦たちを尋問した米軍の報告書は、彼女たちを「高収入の売春婦」と定義し、外出、廃業、接客拒否の自由があったと報告している。少なくとも性奴隷と呼ばれるほど惨めな境涯でなかったことは確かだ。数の上では最多の日本人慰安婦で名乗り出た者が皆無なのはそのためかもしれない。
朝日社説は強制連行も性奴隷も立証できないので、女性の人権という一般論に逃げ込んでいるが、もし全ての売春を人権侵害とみなすなら第2次大戦期以降における他の参戦諸国も比較の対象として論じねばなるまい。
特に韓国では今年6月に使い捨てにされたと憤る122人の元米軍用慰安婦が政府を相手取り、謝罪と補償を要求する集団訴訟を起こしている。韓国軍用慰安婦やベトナム戦争における韓国軍の性犯罪への内部告発もくすぶっているので、わが国としては、韓国は日本の何倍も女性の人権を侵害していると反論すべきではないか。
朝日は今になっても「被害者の救済」を叫ぶが、約200人の慰安婦登録者(うち生存者50人)に韓国政府は支援金を給付し、61人はアジア女性基金の「償い金」(300万円)と首相名の謝罪文をもらい、一件落着している事実を見逃しているのだろう。取り組むべきは、韓国の強迫的な主張をやめさせることである。
【解決の糸口手放すな 最重要課題和解成就を】
元外務省条約局長 東郷和彦(とうごう・かずひこ)
45年生まれ。外務省条約局長、オランダ大使などを経て02年に退官後、10年から京都産業大世界問題研究所所長。著書に「歴史と外交」など。
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