2014.10.06 Monday 16:43
くっくり
【被害者目線で再考を 強制連行は否定できず】
ルポライター 西野瑠美子(にしの・るみこ)
52年長野県生まれ。「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)共同代表。各地の元従軍慰安婦に取材を重ね、著書に「戦場の『慰安婦』」、共著に「『慰安婦』バッシングを越えて」
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日本軍「慰安婦」をめぐり、韓国・済州島で女性を強制連行したとの故吉田清治氏の証言について、朝日新聞が「裏付け得られず虚偽と判断」として記事を取り消した。それを受けて、「慰安婦」の強制連行自体があたかも虚偽であったかのように、政治家や一部メディアが宣伝している。
日本政府は1993年、河野洋平官房長官の談話で「慰安婦」への軍の関与と強制性を認めた。政府が6月に公表した河野談話の作成過程の検証報告書によれば、吉田証言は河野談話と全く関係がない。しかし、安倍政権は河野談話の継承を表明しながら、いまだに軍や官憲による強制連行を直接示す資料は見つかっていないとしている。
そもそも「慰安婦」について問われてきた強制性は、軍や官憲による拉致連行のみではない。慰安所での性行為の強要こそが問題の中心である。それを踏まえた上であえて、強制連行はなかったのか、これまでの調査研究を基に考えてみたい。
河野談話は強制性を「本人の意思に反して」と表現しているが、戦争当時はどうであったのか。
日本が加入していた国際条約は、「醜業(売春)」を行わせる目的で、未成年の女性を勧誘し、「詐欺または暴行、脅迫、権力乱用その他一切の強制手段」で成年女性を徴集することを禁じていた。刑法も、暴行や脅迫によって略取したり、欺き誘惑して誘拐したり、国外に移送するために人身売買したりしてはいけないと定めている。
「慰安婦」にされた韓国人女性の証言に多い、だまされたというケースは、当時も誘拐罪であった。これらは強制連行と言わざるを得ない。
なお、安倍首相は「間に入った業者が事実上強制していたという広義の強制性があった」と国会で答弁しているが、内務省や警察の資料で確認されているように、業者に「慰安婦」集めを指示したのは日本軍である。
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