スイスが平和ボケ?

2014.05.26 Monday 17:20
くっくり


産経新聞5月17日(土)夕刊 総合面「Inside(インサイド)」

スイス平和ボケ?
ハイジャックにも軍出動せず
理由は「業務時間外」

 永世中立だが鉄壁の守りで固めた国家。そんなスイスのイメージをすっかり塗り替える事件があった。民間航空機が乗っ取られてジュネーブの空港に緊急着陸した際、イタリアとフランス空軍の戦闘機が出動したのにスイス空軍機は全く動かなかったのだ。理由は「業務時間外だったから」。スイスに一体、何が起こっているのか? (坂本英彰)

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◇伊・仏空軍機が発進

 ロイター通信などが伝えた事件の概要はこうだ。

 2月17日未明(現地時間)、エチオピアの首都アディスアベバからエチオピア航空のボーイング767旅客機が離陸。乗客約200人を乗せてローマに向かっていた同機で異変が起こった。機長がトイレに立った隙に副操縦士が操縦室に立てこもり、通信コードを使って「ハイジャック発生」を発信しスイスに向かうことを告げた。

 イタリア空軍ユーロファイター戦闘機が緊急発進してハイジャック機を発見。同機を監視しつつスイス西部のジュネーブに向かい、フランスの空域に入ったところで仏空軍ミラージュ戦闘機に引き継いだ。

 ハイジャック機は午前6時2分(同)、ジュネーブの空港に着陸。副操縦士は操縦室の窓からロープで脱出し、駆けつけた警官に「私がハイジャックした。スイスへの政治亡命を求める」と告げた。副操縦士は拘束された。

 奇妙なのはこの間、スイス空軍機が出動しなかったことだ。なぜか。米メディア、ブルームバーグなどによると、スイス空軍の戦闘機が緊急発進するのは午前8時から午後5時の間だけ。「時間外」には、フランスやイタリア空軍が代替することになっているという。各国首脳級が集うダボス会議の際も、隣のオーストリア空軍が警戒で協力する。「それは予算と優先順位の問題」。スイス空軍報道官はそう説明している。

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◇鉄壁の守りどこへ

 スイスは1815年に永世中立国として認められたが、重武装で国土を守ってきたと思われてきた。今回の事態が明らかにしたのはイメージとは正反対の「お役所勤務」だ。

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