2006.09.23 Saturday 02:51
くっくり
石原慎太郎都知事は控訴することを明言した。しかし、都教委と教職員の争いが長引けば、教育現場は混乱が広がるばかりだ。判決を厳粛に受け止め、事態の収拾を図るべきではないか。
都教委が通達を出したのは03年10月。それ以降、違反した教職員に対する大量の懲戒処分が行われるようになった。01、02年度はともにゼロだったのに、03年度179人、04年度114人が処分され、いずれも全国で処分を受けたうちの9割以上を占めた。
文部科学省の調査では、全国の公立小中高校の卒業式や入学式ではここ数年、国旗掲揚率、国歌斉唱率とも100〜99%に達している。教育現場では、国旗掲揚・国歌斉唱が特に混乱もなく行われ、定着してきているといえる。
一方、都教委は通達に加え、違反した教職員に対し1回目は戒告、2、3回目は減給、4回目は停職と処分を重くし、再発防止研修も受講させるなどの厳しい指導を実施してきた。都教委の通達と指導に基づく突出した大量処分が教職員の不信と反発を招き、逆に混乱を引き起こしている。
判決は式典での国旗掲揚・国歌斉唱を否定するのではなく、むしろ「生徒に国を愛する心を育てるため有意義だ」と評価している。また、もともと文科省の学習指導要領は掲揚・斉唱を「指導するものとする」と規定し、都教委は学習指導要領を通達の根拠に挙げているが、判決は「教職員は生徒に対して一般的に指導の義務を負い、妨害行為や拒否をあおる行為は許されない」とも指摘している。
それでも判決は「世界観、主義、主張に基づいて起立、斉唱したくない教職員もいる」として「拒否する自由」を認めた点に大きな特徴がある。憲法が保障する思想良心の自由を最大限に尊重した判決の重みを、関係者は十分にくみとってほしい。
「国旗、国歌は国民に強制するのでなく、自然のうちに国民の間に定着させるというのが国旗・国歌法の制度趣旨である」。判決はそうも説いている。同法成立当時の小渕恵三首相は「内心にまで立ち至って強制するものではない」と、「心の自由」を尊重する国会答弁をした。教育関係者は原点に立ち返る必要がある。
毎日新聞 2006年9月23日 0時15分
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