婚外子平等でもフランスのように正妻の取り分を増やすなど配慮を
2013.11.05 Tuesday 00:57
くっくり
さらに、こと相続に限っていうと、「親の因果が子に報う」のが事の本質である。努力して裸一貫から身を起こして財をなした親を持つ子は、十分な遺産を手にすることができる。逆に、資産家の若旦那が放蕩三昧の結果、一文無しになった場合、その子の受けるべき遺産はないどころか、親が借金だけ残して死亡した場合には、その子はその借金を引き継ぐのが原則。
(7)保身に汲々としている点。
今回の決定が、もし「父母が婚姻関係になかったという、子にとって自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されない」と言ったら結論はすぐ出てくるが、大法廷にとっては甚だ都合が悪い。この理屈が正しいとしたら、その事情は先の大法廷決定のあった平成7年でも、半分規定が制定された昭和22年でも同じである(それどころか、人類始まって以来、この事情は同じである)。
そうなると、大法廷自身、先の大法廷決定の誤りも含め、半分規定の下でなされた遺産分割審判の誤りをいわざるをえない。収拾不能の大混乱は必定である。これを避けるため、前記理屈は大法廷が採用したとは言わず、この理屈の「考え方が確立されてきた」と述べ、平成7年以降の社会環境の変化にすり替えたのである。
(8)人権規定が人としての最低限の権利を保障した趣旨をないがしろにした点。
憲法は国民に生存権を保障したが、その内容は最低レベルの生活を保障したにすぎない。そのレベルさえ下回る場合に初めて生存権が侵害されたといいうる。平等権も人権の一つとして、同様の趣旨を持つ。
すなわち、平等原則は何でも平等を強制するのではなく、具体的な不平等が極端で到底見過ごしできない場合に初めて発動すべきものである。だからこそ、平等原則違反を主張する訴訟のほとんどが棄却されて終わりなのである。
今回の争点は、法律婚を守る趣旨からしてそれ相応のいわれがあるし、非嫡出子にも半分の相続分を認めて不利益を緩和しているのであるから、「多数者によるいわれなき差別で少数者がひどい不利益を被っている」場合に当たらない。元来、人権問題と捉えること自体、問題である。平等原則の暴走事故、これが今回の決定の客観的評価である。
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