婚外子平等でもフランスのように正妻の取り分を増やすなど配慮を

2013.11.05 Tuesday 00:57
くっくり



●平成7年の最高裁大法廷決定は、半分規定は平等原則に違反せず合憲である旨の判断を示し、これが判例として機能してきた。

●今回の決定は半分規定の合理性を否定する根拠を生活環境の変化に求めているが、平成7年以降、合理的根拠を失わせるほどの急激な社会環境の変化があったという判断は明白な誤りである。わが国では法律婚主義を採用し続け、これが強い伝統となって、いま、これを廃止しようという大勢にはない。

●非嫡出子が増えたといっても、わが国の年間出生子のわずか2%を占めるにすぎず、大勢を動かすにはほど遠い。「現在では嫡出子と非嫡出子の間で相続分に差を設けている国は欧米にはない」というが、平成23年の欧米の非嫡出子の比率はフランスで56%、アメリカで41%、イタリアで23%といった塩梅で、ここまで増えたら大勢を動かす原動力となりうる。非嫡出子の比率がわずか2%を占めるにすぎないわが国が、無批判的にこれを根拠として持ち出すのはおかしい。

●国民感情の点を見ると、内閣府の世論調査によれば、「相続できる金額を同じにすべきだ」という意見は25.0%(平成8年)、24.5%(平成18年)、25.8%(平成24年)であるのに対し、「現在の制度を変えないほうがいい」という意見は38.7%(平成8年)、41.1%(平成18年)、35.6%(平成24年)という結果が出ている。平成7年の大法廷決定以降、半分規定を廃止して非嫡出子の相続分を嫡出子と同じにすべきだという意見は、常に現状維持の意見をかなり下回っている点を素直に見るべきである。

●今回の決定を示したチェックポイント、すなわち国の伝統、社会事情、国民感情のどれを取ってみても、「平成7年以降、合理的根拠を失わせるほどの急激な社会環境の変化があった」とはいえない。もうこれだけでも、今回の違憲判断の根拠は失われたというほかない。

 とした上で、井上さんは最高裁決定の「誤り」を八つ提示しています。

(1)今回の決定は典型的な「風見鶏ごっこ裁判」である点。
 大法廷は、半分規定に合理的根拠があるか否か、論理を持って説明すべきであった。しかし、大法廷は社会環境の変化を違憲判断の根拠とした。要するに、「世の中が変わったから身を任せた」(変わったという判断が誤りなのはさておき)。このような姿勢は、なにものにもとらわれず、独立して判断を下すべき裁判所の職責を放棄するものである。

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