2012.06.19 Tuesday 00:46
くっくり
「日本巡察記」(松田毅一・他訳、平凡社東洋文庫)より
ヨーロッパ人と異なり、彼等(日本人)は悲歎や不平、あるいは窮状を語っても、感情に走らない。
すなわち、人を訪ねた時に相手に不愉快なことを言うべきではないと心に期しているので、決して自分の苦労や不幸や悲歎を口にしない。
その理由は、彼等はあらゆる苦しみに堪えることができるし、逆境にあっても大いなる勇気を示すことを信条としているので、苦悩を能(あた)うる限り胸中にしまっておくからである。
誰かに逢ったり訪問したりする時、彼等は常に強い勇気と明快な表情を示し、自らの苦労については一言も触れないか、あるいは何も感ぜず、少しも気にかけていないかのような態度で、ただ一言それに触れて、あとは一笑に附してしまうだけである。
一切の悪口を嫌悪するので、それを口にしないし、自分たちの主君や領主に対しては不満を抱かず、天候、その他のことを語り、訪問した先方を喜ばせると思われること以外には言及しない。
「ベルツの日記」(菅沼竜太郎訳、岩波文庫)より
不思議なことに、今の日本人は自分自身の過去についてはなにも知りたくないのだ。それどころか、教養人たちはそれを恥じてさえいる。
「いや、なにもかもすべて野蛮でした」、「われわれには歴史はありません。われわれの歴史は今、始まるのです」という日本人さえいる。このような現象は急激な変化に対する反動から来ることはわかるが、大変不快なものである。
日本人たちがこのように自国固有の文化を軽視すれば、かえって外国人の信頼を得ることにはならない。なにより、今の日本に必要なのはまず日本文化の所産のすべての貴重なものを検討し、これを現在と将来の要求に、ことさらゆっくりと慎重に適応させることなのだ。
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