2006.08.06 Sunday 03:51
くっくり
安倍晋三官房長官の靖国参拝が明らかにされた。四月半ばのことをこの時期になぜ、と意図をいぶかる人もいるだろう。伝えたいメッセージがあるのなら堂々と述べよ。中韓両国もここは冷静に。
これは、四月十五日に参拝したから、八月十五日をはじめ今年は靖国神社に行かない、との意思表示か。それとも首相になれば参拝の事実はこういう形で事後に示唆する、ということなのか。
疑問はまだある。就任以来毎年の参拝で物議を醸し続ける小泉純一郎首相の退陣が来月に迫り、後継づくりの自民党総裁選が本格化しつつあるこの時期、である。
立候補が予定される谷垣禎一氏は参拝を控えるとしているし、麻生太郎氏も現実的な姿勢をにじませる。唐突な“情報開示”に争点をぼかす計算があるとしたら、別の意味での靖国の政治利用であるだろう。
事実関係の確認を求められた記者会見で「したかしないか申し上げるつもりはない」と語った。国内外の非難や抗議を回避するための弁ならば、アジア外交の立て直しが喫緊の今、見え透いた姑息(こそく)な手法とけなされても仕方ない。
批判から身をかわし、一方で国民の中の反中国、反韓国感情をあおるのは危険な世論操作だ。一国の首相を志す人がすべきことでない。
安倍氏は衆院議員に当選以来ずっと参拝を続けているという。かねて「国のために戦い、命を落とした方に祈りをささげるのは当然」と語っている。気になるのは、先の戦争評価は歴史家に委ねるとして、口を閉ざしていることだ。
少なくとも小泉首相は靖国に合祀(ごうし)されているA級戦犯の戦争責任を認めている。そこに参拝する論理矛盾を首相は十分説明していない。A級戦犯容疑のかかった岸信介氏を祖父に持つ安倍氏は、首相をまねるのかどうか、うかがっておきたい。
四月の参拝にあたって安倍氏は内閣官房長官と記帳している。それが中国や韓国を刺激するのを知らないはずがない。あえて騒ぎを大きくするところは「ゲーム感覚」を疑う。
もちろん靖国問題をこじらせた責任は小泉氏にある。後継候補を結果的に傷つけることになれば、自民党にとっても不幸なことだろう。首相は虚心に考えることだ。重ねて、残余の任期中の参拝回避を促す。
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