日本の精神を守った渡辺謙さん 産経「彼らの心が折れない理由」より

2012.02.04 Saturday 01:30
くっくり


「ベストが無理なら、セカンドベストを」 俳優・渡辺謙(2)産経新聞2012.1.15
〈前略〉
 日本人としての信念が道をひらく

 ベストが無理なら、セカンドベストを。「はやぶさ」のリーダーの言葉に渡辺は、2003年に公開された『ラストサムライ』の撮影を思い出していた。ストーリーがクライマックスに近づく頃、渡辺演じる武士・勝元が、明治天皇に刀を返還する場面で、渡辺は監督のエドワード・ズウィックと意見を戦わせることになった。

 「監督は、勝元に明治天皇の目を見て刀を返せと演出したんですよ。『終末に向かう合図でこの映画のターニングポイントだから、このアイコンタクトは非常に大事なんだ』と。僕は即座に否定したんです」

 天皇陛下に目を合わせる武士などいない、と言うと、監督も、2人のアイコンタクトがないと何も伝わらない、と言い張った。日本人とアメリカ人の感性の違いの対立だった。

 「『お前は日本を背負っているつもりか』と言う監督に、僕も『ああ、そうだ。背中に日の丸をいっぱい背負っているのが見えないか』と言い返す。売り言葉に買い言葉です。監督は、僕の控室まで追いかけてきて『天皇と目を合わせろ、それでやろう』と言う」

 渡辺を説得するため、監督は米国の名優、デンゼル・ワシントンの映画『グローリー』の撮影エピソードまで持ち出した。

 「南北戦争初の黒人部隊を描いた映画で、奴隷時代のデンゼルがむち打たれ、涙を流すシーンがあった。当初、デンゼルは『俺は泣かない』と拒んだそうです。そこで監督は、3千フィートという最長のフィルムを用意して、延々むち打ちのシーンを撮影した。デンゼルは、そのことに傷ついてついに泣いた。演技ではないけれど、あの涙があったから作品は成功した、と」

 トム・クルーズが主演・プロデュースのハリウッド映画で日本の古式に則(のっと)った侍の作法がすべて描けるわけではない。けれど、天皇に目を合わせる演出を受け入れては、日本の精神や伝統が失われてしまう。渡辺は自分の意思を曲げなかった。

 「目を見るパターンと、見ないパターンの2パターン撮ることにしたのですが、実際は2回とも目を合わせなかった。監督は何も言いませんでしたが、試写を見ると僕に謝りに来た。『謙、悪かったな。勝元が天皇に何を伝えようとしていたか、お前が言っていた意味がよく分かった』と言ったんです」

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