【東日本大震災-10】外国人から見た日本と日本人(32)

2012.01.07 Saturday 01:16
くっくり


■モハメド・ナブルシ=レバノン人。1978年(昭和53年)生まれ。会社員。地震発生時は川崎市のオフィスにいた。日本滞在期間3年半。
加藤恭子編「私は日本のここが好き!—特別版 親愛なる日本の友へ」より

 あの日から四十日が経過しますが、僕の周囲では何も起こらなかったかのような生活が、続いています。日本社会は健全で強靭だと実感します。頻発する余震にもすっかり慣れて、崩れない完璧に建築された建物の中で、余震を受け流しています。

 人々はこんな状況でも問題なくすごしていて、自然との共生を感じます。日本は社会基盤が強固で、殊にその社会を支える人々は、たくましく生活している。それは、他者に対してではなく、自然と闘ってきた歴史がある国だからではないでしょうか。

 つい百余年前まで鎖国をしていた日本。閉ざされた国だったがゆえに、他者にもたれかかろうとしない、固有の独立意識が育まれたのだと僕は思います。「お手上げです!」と投げ出して、他国に頼ろうとはしない。誰もが自力で頑張ろうとして、一生懸命働かねばならないという姿勢で、諦めません。逆境さえ乗り越える意志があります。閉ざされていた文明が開化する前に培われた、日本特有の独立心が、今後も復興に活かされると思います。

 仕事で今も深く関わり、一昨年まで妻と一年半暮らした国、ドイツ。でもドイツや諸外国で、日本のように荒波にも立ち向かう人々は、ごくわずかです。

 震災後間もなく、多くの外国人は自国の大使館からの帰国勧告を受け、旅費や宿泊費などの補助もあり、各国へ帰ってしまいました。実は僕も、レバノン大使館から電話を受けました。でも3・11を理由に、日本を去る気はありません。これが僕の選んだ人生なのだから、逃げ出しません。津波による被害は、僕には想像すら及びませんでした。テレビで当初は見ていましたが、船が海から五kmも内陸の路面にあるような、壊滅的な映像ばかりで、もうテレビは見たくなくなりました。

 三月下旬には計画停電が続いたり、商店やガソリンの列に並んだりと影響を受けましたが、3・11後も、日本人は以前と変わらない生活を、無理なく続けている。悲観しないで、復興への希望を抱きながら。同時に「しょうがない」と現実を受け入れつつ、前進している。これは本当に素晴らしいと思います。

[7] << [9] >>
comments (3)
trackbacks (0)


<< 「アンカー」4月以降に北が動く可能性&消費増税で野田首相のウソ
「たけしの教科書に載らない日本人の謎2012」日本語特集 >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.04R]