日本人が知らない八田與一「ビーバップ!ハイヒール」より

2011.09.24 Saturday 01:53
くっくり



 集会所に集まってゲームをしたり、定期的にお祭りを開いたり、工夫たちはここでの生活を心から楽しむことができた。

 台湾の工夫たちとも家族のように接する八田。

 上からではなく、同じ目線で仕事をする彼の姿勢に心を打たれ、台湾の人たちも次第に心を開いていった。

 地元の反対も弱まり、全てが上手く行くように思われた。

 そんな時……

 1923年、関東大震災が発生。
 日本は、台湾のダム建設どころではなくなった。

 八田は、台湾総督府からダムの建設予算の大幅カットを言い渡される。

 「台湾人半分のクビを切って、何とか工事を続けてもらえんか?」

 この噂は台湾人工夫たちの間にも広まった。

 「俺たち、そろそろクビらしいぞ」
 「そうらしいな…。日本人が優遇されるのは仕方がない…」

 ところが、何と八田が解雇したのは日本人ばかりだった。

 台湾人工夫たちは驚き、なぜ自分たちを優遇して残したのか、その理由を尋ねた。

 すると八田はこう答えた。

 「当然ですよ。将来このダムを使うのは君たちなんですから」

 日本人は日本でも仕事ができる。
 台湾人はこの地でずっと生きていく。
 自分たちのダムは自分たちで造ってほしい。

 それは八田の思いだった。
 工夫たちは、八田を心から信頼するようになった。

 そんなある日……

 ダムの現場で爆発事故が発生。
 死亡者50人以上、負傷者100人以上の大事故だった。

 八田は、取るものも取り敢えず急いで遺族の家に駆けつけた。
 土下座し、遺族に詫びる八田。

 「申し訳ございません!あなたのご主人を殺したのは私です!」

 大切な人の命を奪ってしまった。
 いくら謝っても謝りきれない……。

 未亡人はしかし、八田にこう話しかけた。

 「八田さん、頭を上げて下さい。主人は、ダムの仕事を誇りに思っていました。八田さん、どうか立派なダムを造って下さい!」

 亡くなった工夫たちは、自分と同じ思いを抱いていてくれた。
 家族にも語ってくれていた。

 八田は決意を述べた。

 「必ず、必ずダムを完成させてみせます!」


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