[2] 「アンカー」東谷暁氏が解説“報道されないTPPの真実”(2)終

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GGE
2011/02/20 06:15 PM
くっくりさん、始めまして。
投稿は初めてですが、いつも拝見しております。

私は、愛知県で農業を営んでおります。
TPPについて、色々と議論があるようですが、世界や日本での農業のことを知らないのに、拙速な議論が進んでいることに危機感を抱いております。

TPP反対論の詳しいことは京都大学の中野助教がおっしゃっているので、あえて申し上げませんが、ほとんどの人が言わない(知らない)農業の実態について申し上げます。

まず、自給率についてですが、日本はカロリーベース、世界は価格ベースです。実は、どちらも実態は見えてきませんし、世界の国では自給率そのものを重視していません。食糧自給は国家戦略にもつながるので、できて当然なんです。
それで、食糧自給で大切なのは、穀物ですが、品目別で考えると、これからの日本の食糧自給の必要性が見えてきます。
米は95%以上自給しています。小麦が15%以下、大豆に至っては5%以下、なんと飼料用穀物は0%です。
ちなみに、この割合は収量ベースです。私はこの値を一番重視しています。

それから、これは農業改革うんぬんに関わる問題なので、是非とも理解して欲しいのですが、農業は大きく分けて二種類に分けられます。
農地利用型農業と農地集約型農業です。
農地利用型農業は、米を代表する穀物栽培がそれにあたります。
たくさんの耕作地によって利益を得る農業で、日本ではアメリカやオーストラリアの規模は得られません。
農地集約型農業は、施設園芸に代表される農業で、資本と労働力を集約して利益を得ます。自給率を価格ベースで語ると、こちらが前面にでてきてしまいます。
ちなみに、農地集約型は農地利用型と比べると、面積あたりの売上は10倍以上になります。
日本では、1990年代に10社以上の企業が農業に参入しましたが、全て施設園芸であり、1社を除いて全て撤退しています。
まだ継続している企業はカゴメです。
企業が参入しても自給率はまず上がりません。園芸作物を作るからです。
コメの議論で自給率は下がる事はあっても上がることはありません。95%以上自給しているからです。
小麦・大豆の二毛作を推進すべきと考えます。

ところで、元阪神タイガースのランディ・バースはアメリカで何をしているかご存知でしょうか?
牧場経営です。アメリカではお金を稼いだ人が新規農業をすることがよくあります。
何故か?儲かるからです。アメリカでは色々な名目で農家へ直接補償がされています。
日本の農家への補償なんて微々たる物で、とても同列に語ることはできません。
ほとんどが土木工事などの事業に使われ、農家にはほとんど入りません。『個別所得補償』の言葉がそれを証明しています。
日本の農業は衰退しています。ですが、食糧輸出国を参考にしよう、と言う人は皆無です。
農家に莫大なお金を出すことになるからです。
ですが、これから世界は食糧不足になるのは必至です。
人口増加や発展途上国の需要増加が大きな理由ですが、大きな問題は、農地の生産力低下にあると思っています。
日本にいると分かりませんが、砂漠化、水不足は深刻であり、来るべき食糧不足を回避するために減反を止めて、小麦と大豆と飼料用穀物を作らせるべきです。

まだまだ伝えたいことはありますが、長くなりましたのでこのあたりで失礼します。
これからも拝見しますのでよろしくお願いします。

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