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- chuu
- 2018/04/01 07:31 PM
- 今日の「そこまで言って委員会」で佐川氏の刑事責任の件で若狭勝氏が偽計業務妨害罪(刑法233条)に当たると言われていた。
偽計業務妨害罪でググてみると、郷原信郎氏のブログ記事で、同罪との関係は住田裕子弁護士が最初に指摘されたようである(3月12日のテレ朝「モーニングショー」)。
そして、郷原氏のブログ(3月13日)では、今回の文書書き換えが権限のある者により行われているので公文書偽造等の罪に当たらないとされている(私の3月29日の投稿は解決済みだった)。ちなみに、現職の検事時代の郷原氏も知っており、長崎地検の次席時代に「長崎から日本を変える」といったような標題の論説を長崎新聞(?)に投稿されたのに驚いた記憶がある。
偽計業務妨害罪は、「偽計を用いて、人の業務を妨害した」ことが犯罪とされるので、今回の件では、国会の業務を妨害したとか国会議員の業務を妨害したということを問題とされているように思う。
例えば、国会の審議活動に無関係な誰かが国会に電話をして「爆弾を仕掛けた」という嘘を言った結果、国会審議が中断すれば、偽計業務妨害罪に問われ得るのは当然である。
しかし、財務省の職員は、政府参考人として国会で答弁したり、国会に提出する資料等の作成を担当するなど、国会の審議活動に参加しているので、財務省側の対応が不適当であっても、同じ「国」の組織内の問題として対応すべきで、刑法上の議論とすることは不適当ということになるのではないか。
法解釈論として「人」に該当する範囲がどこまでかが分からないが、仮に、同じ法人(国も「法人」に当たるはず)内の行為が偽計業務妨害罪に当たるとすると、例えば大手メーカーでの製品の品質検査データの偽装が問題となっているが、会社とか取締役の業務執行をデータ偽装をした社員が妨害したとして罪に問い得ることにもなるのではないか。
その昔、法務省の方々と法令調整などをした際に、刑事責任の追及というのはラストリゾート(最後の手段)ということで非常に消極的だったような記憶もあり、住田氏とか若狭氏など法務・検察当局の勤務経験がそれなりに長い方が、簡単に刑法上の問題とされるのには、若干の違和感がある。
なお、今回の事案では、近畿財務局が総理夫人とか総理の意向を忖度したことがかどうかが問題となっているが、仮に総理夫人等の意向を忖度するような事案であれば、近畿財務局が対応する話ではなく、本省が対応し、官房長などにもすぐに報告がされるような話になると思う。しかし、総理夫人側から本省に問い合わせがあった場合を除き、近畿財務局の現場の担当者ベースで対応を行っているので、国会議員からの照会対応をしたことのある者から見れば(そのような者の対応振りを知っている国会議員から見ても)、それだけで、総理夫人等の意向を忖度した対応はなされていないことが明らかであると思う。
なお、役所側の対応として、総理夫人とか国会議員からの問い合わに対しては丁寧に対応をする(通常より長く説明するとか、上位ポストの職員が応接する)のは当然であるが、対応部署が現場に近いところほど、部内での取扱いは原則どおりのものになるはずである(そうでなければ、上司などから質問されたときなどの対応が困難になり、職員の評価として「×」がついてしまう)。
ちなみに、国会議員と国家公務員の関係を地方議会と地方公務員との関係と同じように考えられる方も多いが、後者では両者の関係がかなり近い(見聞きした範囲内であるが、本当にびっくりする)のに対し、前者では、いわゆる族議員の幹部クラスと局長等の幹部職員といった例外的な場合を除き(これについては私も垣間見た程度で、本当のところは分からないが)、かなり遠いので、まして地方の部署の職員にとっては、本省から特に話がない限り、国会議員などとの関係に配慮することはないと思う。
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